経済産業省は、脱炭素と産業競争力強化・経済成長を同時に実現するGX(グリーントランスフォーメーション)に向けて取り組むスタートアップについて、新たな成長モデルの創出に向けたガイダンスを策定しました。
GX分野特有の市場リスクを踏まえたLOI(Letter of Intent)等の需要表明手法や、期待収益率を踏まえたスタートアップ・ファイナンスの多様化等について、国内外の活用事例や実務上のポイント、成長ステージ等に応じた複数の「ひな形」などを示しています。
1.「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」策定の背景と狙い
2050年カーボンニュートラルの達成に向けては、2023年のIEAの分析によると必要な排出削減の約35%は未だ商用段階にない技術によりもたらされると推定されています。排出削減に必要な技術イノベーションを促進し、GX分野の成長市場を早期に取り込み、企業のGXを推進するためにはGX関連分野のスタートアップの創出・成長が必要です。
他方、GXスタートアップは、その技術や事業が確立するまでの研究開発に大規模な資金を要し、事業化までの時間軸が長い等の課題から、その成長に向けては既存のスタートアップとは異なる戦略が求められます。
GXスタートアップ成長の大きな壁としては量産化前のミドル期が挙げられ、製品ができないと売上見通しが立たず、売上が見込めなければ資金調達ができないという停滞構造を超える必要があります。この構造を解決する手段として、顧客による需要表明(LOI~オフテイク契約)や、スタートアップによるデットの活用が挙げられます。死の谷を克服する特に上記の2つの手段について、事例分析を元に具体的なメリットや実務上のポイントを広く周知するため本ガイダンスを策定しました。
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