今月のテーマ
東近江市建部いきものの水路
[株式会社IHI、滋賀県東近江市]
滋賀県南東部の愛知川(えちがわ)流域に、株式会社IHIと東近江市が連携して、生物多様性保全活動や環境教育の場を提供している『東近江市建部(たてべ)いきものの水路』があります。
この地域は、山地を流れる河川が運んできた砂礫が堆積する扇状地が発達し、水が地下にしみ込んで伏流しやすいという特徴があるため、昔から水の確保に苦労していました。このため、愛知川上流に農業用のダムが造られ、今では関西有数の水田地帯となっています。この農業用ダムからの排水路のひとつが、今回紹介する水路です。愛知川は、扇状地を流下することも相まって、昔から流れが途切れる『瀬切れ』現象が発生します。瀬切れは、例年ほぼ同じ区間で発生し、愛知川と琵琶湖を行き来する魚類などの生息に大きな影響を与えます。愛知川と接続する今回の水路は、その瀬切れ発生区間に位置しているため、愛知川本流の魚の避難場所として活用することができます。さらに、この水路を生き物がすみやすい環境に整えることで、琵琶湖の固有亜種であるビワマスやアユの生育環境が改善し、里にすむ身近な魚類などの生息環境も守られます。
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