建築物を建てる際には、「建築基準法」に基づいた建築確認申請が必要不可欠です。かつては主に各自治体の「建築主事」がこの業務を担っていましたが、近年は民間の「指定確認検査機関」(以下、民間審査機関)による対応も一般的となりました。
しかし、民間活用が進む一方で、「審査機関とのトラブル」が建築業界の現場で相次いで報告されています。本記事では、審査業務に潜む本当のトラブルの実例や背景を掘り下げ、どのような対策が必要かを考察します。

なぜトラブルになるのか?

建築確認審査にまつわるトラブルの多くは、以下のような理由から発生しています。

審査機関ごとの「判断基準の違い」

建築基準法は全国共通であるにもかかわらず、実際には運用にばらつきが生じています。

判断のばらつき例 内容
防火・準防火地域の解釈 特定の外壁仕様や開口部制限の運用基準が異なることがある
避難経路の設計 有効幅員・勾配などの評価基準が審査官によって異なる
構造計算の審査 同じモデルに対して必要な検定項目数が異なることがある

法令外の指導による設計変更

審査官の中には、建築基準法に明記されていない事項についても“行政指導”という形で修正を求めてくる場合があります。こうした指導は善意に基づくものである一方、以下のような弊害を生むこともあります。