非住宅建築で求められる省エネ基準

建築物省エネ法と適合義務

日本において建築物の省エネルギー性能を担保する枠組みとして定められているのが「建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)」です。この法律は2015年に制定され、その後の改正で段階的に対象範囲が広がってきました。
非住宅建築物はエネルギー消費量が大きいため、住宅以上に省エネ性能の確保が重視されており、特定規模以上の建築計画では適合義務が課されています。 特に延べ床面積が2,000㎡以上の新築・増築建物については、省エネ基準に適合していることが建築確認の条件となります。これを「適合義務建築物」と呼び、設計者は省エネ計算を行い、基準に合致していることを証明しなければなりません。
小規模な非住宅建築についても、届出義務が課されるケースがあり、全体として省エネ性能を担保する仕組みが整備されています。

対象となる床面積や建物用途

非住宅建築物における省エネ基準は、建物の用途や規模によって異なります。代表的な対象建物は、オフィスビル、学校、病院、商業施設、ホテル、工場、倉庫などです。これらの建物は利用用途に応じて必要な設備やエネルギー消費の傾向が大きく異なるため、省エネ計算も個別性が強い特徴を持っています。 また、床面積による区分も重要です。2,000㎡以上の建築物は「適合義務」、300㎡以上2,000㎡未満は「届出義務」が原則となります
これにより、中小規模の非住宅建築も省エネ計算の対象に含まれることが多く、設計者は早い段階で自らの案件がどの義務に該当するかを確認しておく必要があります。